本文へ移動

貴重資料展示室

第28回常設展示:2003年4月1日〜2003年10月24日
[前回] [次回]

関孝和と暦算

関孝和 (?-1708) は和算の歴史の上で大きな位置を占めている。関流の祖として代々、弟子によって幕末まで、関孝和の算学は受け継がれた。関孝和は暦法の研究にも力を入れていた時期があり、最も授時暦について理解していたと言われている。授時暦の研究によって著した『四余算法』、『授時発明 (天文大成三条図解)』は代表的なものである。国立天文台には東北大学の岡本文庫本の写しのほか、『括要算法』、『解隠題之法』、『解伏題之法』などの和算本がある。なお、このように多数の著書があるにもかかわらず、生前に刊行されたのは『發微算法(はつびさんぽう)』だけであった。

関孝和は算木の代わりに独自の記号法で計算を進める傍書法を編み出し、より複雑な問題も解けるようにした。

括要算法『括要算法』

天文大成三条図解(てんもんたいせいさんじょうずかい) (別題 授時発明)』 関孝和著 写本1冊

授時暦の数理をまとめた『天文大成管窺輯要(てんもんたいせいかんきしゅうよう)』巻三から黄道・赤道・白道の変換に関する3条を選び、図を交えて手順を解き明かしたもの。最終葉に延宝八年(1680)九月に現れた彗星の事が書かれている。

天文大成三条図解1 天文大成三条図解2 天文大成三条図解3

四余算法(しよさんぽう)』 関孝和著 写本1冊

四余とは4つの仮想天体、すなわち紫気(しき)月孛(げっぱい)羅睺(らごう)計都(けいと)のことであり、それらの位置の計算方法について具体例をあげて解説しているのが本書である。関流の高弟である長谷川寛によって伝えられたとメモにある。

四余算法1 四余算法2

括要算法(かつようさんぽう)』 関孝和先生遺編 荒木村英検閲 大高由昌校訂 刊本4巻4冊

関孝和先生遺編、荒木村英検閲、大高由昌校訂として弟子によって刊行された著書。提示した図は衰垜と呼ばれる級数 衰垜 を展開したときの係数を表わしている。

括要算法1 括要算法2

解伏題之法(かいふくだいのほう)』 関孝和著 写本1冊

この本では未知数が複数の方程式、すなわち多元連立方程式を取り扱っている。

解伏題之法1 解伏題之法2

解隠題之法(かいいんだいのほう)』 関孝和著 写本1冊

この本では数式の加減乗算について整理したうえで、高次方程式を解く方法について説明している。

解隠題之法1 解隠題之法2
[前回] [次回]