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最北と最南 (Equatorial Farthest North / South)†
- 月は地球の周りを公転しており、月の赤緯はそれに伴って変化します。
- 最も北寄りの状態を最北、最も南寄りの状態を最南といい、ほぼ公転周期で繰り返します。
- 最北
- 月が最も北寄りとなる状態。赤緯の極大。
- 太陽でいえば夏至に相当します。
- 月の出入りが最も北寄りになります。
- 北半球では南中高度が最も高くなります。
- 最南
- 月が最も南寄りとなる状態。赤緯の極小。
- 太陽でいえば冬至に相当します。
- 月の出入りは最も南寄りになります。
- 北半球では南中高度が最も低くなります。
- 月の満ち欠けとの関係は、南中高度や出入り方位の変動と同様に、季節によって変わります。
- 南中高度が高い/低い=最北/最南に近いですから、冬は朔と最南、望と最北が近い関係にあります。
- 季節ごとの関係をざっくりまとめると、このようになります。
- 最北や最南は月赤緯の極大極小ですから、
- その前後では、月の南北方向の動きが止まる、あるいは月の出入り方位の変化が止まるように見えます。
- このため、とくに考古学の分野などではLunar standstillと呼ばれることもあります。
- 最北や最南における赤緯は、月の軌道面=白道面の赤道面に対する傾きによって変化します。
白道面の赤道面に対する傾き†
- 白道面はわずかながら黄道面に対して傾いており、かつ、その方向は約18.6年の周期で回転しています。
- これにより、
- 最北と最南の周期は、公転と昇交点方向の回転を合成した、約27.2日の交点月となります。
- 白道面の赤道面に対する傾きは昇交点方向の回転とともに変化しますから、最北や最南における月の赤緯も約18.6年の周期で変動することになります。
- 傾く方向がそろうとき (2006年、2025年、・・・)
- 白道面の赤道面に対する傾きは、黄道面の赤道面に対する傾き+白道面の黄道面に対する傾き〜23.4°+5.1°ほどと、大きくなります。
- 最北と最南の赤緯差も大きくなり、南中高度の変動幅や出入り方位の変動幅が大きくなります。
- Major (Lunar) Standstill と呼ばれることもあります。
- 傾く方向が反対のとき (1997年、2015年、・・・)
- 白道面の赤道面に対する傾きは、黄道面の赤道面に対する傾き−白道面の黄道面に対する傾き〜23.4°−5.1°ほどと、小さくなります。
- 最北と最南の赤緯差も小さくなり、南中高度の変動幅や出入り方位の変動幅が小さくなります。
- Minor (Lunar) Standstill と呼ばれることもあります。
ピークはいつになるのか。†
- 月の平均軌道要素を用いれば、平均的にみて傾く方向がそろうピーク(以下、平均ピーク)を算出することができます。
- 白道面の回転は非常にゆっくりなので、平均ピークの前後1年くらいは最北/最南のたびに同程度のピークが続きます。
- 太陽の重力の影響により、平均ピーク付近の最北/最南における赤緯の絶対値は、上弦/下弦に近いときには若干大きく、朔/望に近いときには若干小さくなります。
- 月の満ち欠けを指定すると、季節との関係性によってかなり限定されます。
- 最北/最南の瞬間は南中/出入りの瞬間とは合致しないので、基準とする場所によっても違いが生じます。
- 2025年の場合、
- 平均ピークは2025年1月29日ごろになります。このころは朔なので、月は見えません。
- 冬なので望と最北は近い関係にありますが、 2025年1月14日の望より、2024年12月15日の望のほうが最北の瞬間に近く、南中高度も高くなります。
- 天象で月の最北/最南を調べてみると、最北は2025年3月8日〜上弦の赤緯28.7°、最南は3月22日〜下弦の赤緯-28.7°がそれぞれのピークになることがわかります。
- こよみの計算で月の出入りを調べると、2024年12月15日の望より、2024年9月25日の下弦や2025年3月7日の上弦のほうが南中高度は高いことがわかります。
- むしろ、満ち欠けを無視するなら、2024年12月15日の望より南中高度が高くなる日はいくつもあります。
- 以下の図も参考にしつつ、日々の南中高度や方位についてはこよみの計算等でお確かめください。
関連ページ†
Last-modified: 2024-07-01 (月) 10:59:55