暦Wiki
古代ローマのこよみ†
- 古代ローマのこよみはロムルス暦→ヌマ暦→ユリウス暦と変遷したとされています。
- fastiと呼ばれる古代ローマのカレンダーはいくつか存在しますが、残念ながら断片のみかつ数が限られており、その歴史をたどるには後世の歴史家が残した書物に頼らざるを得ません。
- しかし、そうした書物も記述が断片的だったり、紀元前後に書かれたものでも理由が不明とされたり、相互に食い違っていたりと、なかなかすっきり説明できないというのが現状です。
特定の日には名前がある†
- 1日:Kalendae (Kalends)。
- ラテン語で「宣言」「布告」するの意で、新月 (細い月) が見えたときに新しい月の始まりを宣言すること由来します。
- Calendarという言葉も語源は一緒です。
- 5日または7日:Nonae (Nones)。
- ラテン語で「9」の意で、イドゥスの9日前を意味します。
- ノネが5日ならイドゥスは13日、ノネが7日ならイドゥスは15日になります。
- 13日または15日:Idus (Ides)。
- ラテン語で「分ける」の意で、月の満ち欠けを分ける=満月に相当します。
- シェークスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー (ユリウス・カエサルの英語名)」では、カエサルは暗殺前に"Beware the Ides of March." (3月のイドゥスに気をつけろ) と預言されます。この「3月のイドゥス」とは3月15日のことを指します。
- イドゥスが満月ですから、ノネは上弦を意味することになり、いずれも太陰暦の影響を受けた言葉であることがわかります。
- 当初は初めて細い月が見えたときに上弦まで何日と宣言するなど、実際に月の満ち欠けにあわせていたのかもしれません。
- けれど、月の日数はいつしか固定され、31日ができたりと、太陰暦とはかけ離れたものになりました。
0がない†
- 古代ローマには0という概念が存在しません。
- ノネの日付
- ノネは、イドゥスが13日なら5日、イドゥスが15日なら7日になります。現代的な感覚ではノネはイドゥスの8日前です。
- にもかかわらず、ノネ=イドゥスの9日前というのは、古代ローマに0という概念がないからです。
- イドゥスが13日から古代ローマ式に数えると、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日、5日と数えるので9日前となるわけです。
- 古代ローマの1週間=nundinae
日付は逆向きに数える†
- 日付はカレンデ・ノネ・イドゥスを基準にして逆向きに数えます。
- 日付につくa.d.=ante diemは、逆向きに数えることを意味します。
- 古代ローマに0の概念は存在しないので、その日を含んで数えます。
例) 3月10日=a.d. VI Id. Mart. (Martiusのイドゥスの6日前)
Martiusのイドゥスは3月15日ですから10日だと5日前のように思えますが、古代ローマ人は15日、14日、13日、12日、11日、10日と数えて6日前と判断します。
- 特定の日の前日はpridieを使います。
例) 3月14日=prid. Id. Mart. (Martiusのイドゥスの前日)
- イドゥスを過ぎたら、翌月のカレンデを基準にします。
例) 2月27日=a.d. III Kal. Mart. (Martiusのカレンデの3日前)
- 日付を逆向きに数えるには月の日数があらかじめ知っている必要があります。
- 日本や中国のように月の満ち欠けを予測せず、各月の日数を固定していたのはここに原因があるのかもしれません。
- 月の日数を変えたり、ノネやイドゥスの日付を変更すると、さまざまな行事の日付が変わり、混乱を招きます。
- ユリウス暦では新たに31日の月ができましたが、ノネやイドゥスは元のまま (5日と13日) とされました。
関連ページ†
Last-modified: 2021-08-21 (土) 19:37:50