私たちが空を見上げ、星を見たときに思い浮かぶ星座や星の多くの名前は、ギリシャ神話からとられている。
秋から冬にかけて、うるんだように見える星のかたまりがある。「すばる」と呼ばれる星である。これは和名で「統星」「すまる」とも言われ、首につけた玉飾りを連想してつけられたようだが、後、中国から入ってきた二十八宿の「
清少納言は紫式部と共に世界にほこる平安時代の女流文学者だが、その作品に『枕草子』があり、その中に「星は、すばる。ひこぼし・・・」と七夕伝説の牽牛星や宵の明星(金星)と共に「すばる」の名が書かれている。清少納言の時代からとんで、現在でも皆に好かれており、歌にもうたわれている、名前も形も印象深い星である。未来の星々を見続けていく望遠鏡に名付けられたゆえんであろう。
展示した『分野星図』は江戸時代後期のものである。周天1周を360度とし、赤道を中心とした方図と、上規・下規の円図および二十四節気ごとの二十八宿南中時刻 (中星時刻) の表とで、1組となっている。渋川景佑 (1787-1856?) が序文を書いているが、その序文によると、この星図は渋川春海の『天文分野之図』延宝五年(1677)からだいぶ月日もたち、星の位置が宿度に合わなくなったので高柳信行が計算しなおして方図としたとある。助算および図の作成は高塚福昌、阿部比輔、上条景弘が行なった。
それまでの星図は1周365.25度を不等間隔に二十八宿で分けた区画上に示されていたが、この星図は等間隔の赤道座標で表わされている。図は彩色が施されており、天の川は青く、参宿 (オリオン座) や昴宿などの二十八宿は赤く示されている。同様のものには、『