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ユリウス日 (Julian Date/Julian Day Number)†
- ユリウス日とは、ユリウス暦を−4712年 (紀元前4713年) 1月1日まで遡って適用し、そこから数えた経過日数です。ユリウス通日と呼ぶこともあります。
- −4712年 (紀元前4713年) はユリウス周期の起点となる年です。もちろんユリウス暦の制定はまだずっと先の話ですが、当時から存在したと仮定して日付を定めます。
- たとえば、起点である−4712年1月1日は0日、グレゴリオ暦の2000年1月1日は2451545日となります。
- 日付が長期にわたり連続するので、日数計算やさまざまな暦の関連付けなど、幅広く使われています。
- ユリウス日に小数をつけて、時刻の情報を含めることもできます。
- この場合、−4712年1月1日正午を0.0日とした経過日数となります。
- 英語では、時刻を含めたものをJulian Date (JD)、日付のみの方をJulian Day Number (JDN) と呼んで区別しています (IAU 1997 )。
- JD 2451545.0 TT、JD 2451545.0 UT1などのように、時刻系の情報も含めて表現することもあります。
- ユリウス日から2400000.5を引いたものを修正ユリウス日 (Modified Julian Date; MJD) といいます。
- こちらは1858年11月17日正子を0.0日とした経過日数となります。
ユリウス周期 (Julian Period)†
- 1583年、長期にわたる年代を数えるため、スカリゲル(Joseph Justus Scaliger)によりユリウス周期が提案されました。
- ユリウス周期=以下の3つの周期がそろう=7980 (=28×19×15) 年
- 28年周期:日付と曜日がそろう。主日文字がGFとなる年=1月1日が月曜日で始まるうるう年を1年目とします。
- 19年周期:日付と月の満ち欠けがそろう。ディオクレティアヌス紀元に沿った周期を用いていますが、8月ではなく3月を基準としますので、285年が1年目となります。
- 15年周期:古代ローマの課税周期 (indictionまたはindictio)。コンスタンティヌス帝の導入した周期を用いていますが、9月ではなく1月1日を基準としますので、313年が1年目となります。
- 各周期の何年目かがわかれば、7980年の範囲内で一意に年を決定できます。
- たとえば、28年周期の21年目、19年周期の6年目、15年周期の8年目といえば、2000年のことを指します。
- 干支のように年代特定に使うことも可能ですが、1月1日基準で考えないとかえって混乱します。
- なお、
- たまたま彼の父親の名前もユリウスですが、彼の著書によれば、ユリウス周期の「ユリウス」はユリウス暦の1年を基準としたことから名付けたものだそうです*1。
- 7980年周期自体は、スカリゲル以前にも使われていたことがあるようです。
- 各周期がそろって1年目になる年が−4712年 (紀元前4713年) です。
- これを起点とすると、たとえば、−4712年はユリウス周期1年、紀元1年はユリウス周期4713年となります。
- たいていの史実はこれより後ですし、次の周期に入るのは3268年ですから、年代学的には便利ということでしょう。
- 各周期の1年目をいつにするかには任意性があり、それらを変えれば起点も変わります。
- たとえば、19年周期の1年目を284年、15年周期の1年目を312年とすれば、紀元132年にすべてが1年目となります。
- たまたま程よい年が起点になった、というところでしょうか。
- 1849年、イギリスの天文学者ジョン・ハーシェル(John Herschel)はこれを応用し、−4712年1月1日からの経過日数という概念や計算方法を紹介しました*2。
- これが次第に天文学者の間で浸透し、現在のユリウス日となりました。
- もっとも、彼自身はユリウス日という呼称を使っておりませんし、トレミー (プトレマイオス) にならってアレクサンドリアの子午線を基準とするとも述べていますが・・・。
関連ページ†
Last-modified: 2022-05-02 (月) 17:24:58