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近地点と遠地点は平等にならない†
- 月は地球の周りを楕円運動するので、1公転の間に近地点(最近)と遠地点(最遠)があります。
- 単純な楕円軌道であれば近地点と遠地点は決まった位置にありますが、太陽の影響により方向や距離が複雑に変動します。
- 近地点や遠地点の方向は周期8.85年で回転します。
- 近地点と遠地点では方向や距離の変動量が異なります。
- 近地点における月の黄経は遠地点における月の黄経よりも変化が激しいです。
- 近地点における月の地心距離は遠地点における月の地心距離よりも変化が激しいです。
- 近地点から近地点までの日数も、遠地点から遠地点までの日数に比べて変化に富みます。
- このような近地点と遠地点の変動の違いは月の公転に対する太陽の影響によるもので、とくに出差と二均差がおもな原因となっています。
- 以下、近地点における月の地心距離を最近距離、遠地点における月の地心距離を最遠距離と呼ぶことにします。
- 長軸が太陽の方を向く場合
- 出差により楕円の度合い(離心率e)が大きくなりますから、最近距離a(1-e)は小さくなり、最遠距離a(1+e)は大きくなります。
- 近地点・遠地点は朔や望のときになりますから、二均差により最近距離・最遠距離は共に小さくなります。
- 合計すると、最近距離はより小さくなり、最遠距離は変化が打ち消しあいます。
- 短軸が太陽の方を向く場合
- 出差により楕円の度合い(離心率e)が小さくなりますから、最近距離a(1-e)は大きくなり、最遠距離a(1+e)は小さくなります。
- 近地点・遠地点は上弦や下弦のときになりますから、二均差により最近距離・最遠距離は共に大きくなります。
- 合計すると、最近距離はより大きくなり、最遠距離は変化が打ち消しあいます。
- 月の不等の大きさから、変動量の大きさを概算することができます。
不等 | 近地点方向 | 最近距離[km] | 最遠距離[km] |
出差 | 朔望 | -3,699 | +3,699 |
弦 | +3,699 | -3,699 |
二均差 | 朔望 | -2,956 | -2,956 |
弦 | +2,956 | +2,956 |
出差+二均差 | 朔望 | -6,655 | +743 |
弦 | +6,655 | -743 |
- したがって、
- 最近距離の変化(±6,655km)は最遠距離の変化(±743km)よりも激しく、月の満ち欠け=月と太陽の相対的な位置関係に依存します。
- 最近距離がもっとも小さくなる=月がもっとも地球に近づく=月がもっとも大きく見えるのは、近地点かつ朔や望のときです。
- 近地点かつ朔や望のときは、近地点かつ弦のときに比べて13,000kmほど近くなります。
- 近地点かつ望となる周期は約14朔望月です。
- 近地点かつ朔のケースとあわせて、月が地球により近づくピークは約14朔望月に2回あることになります。
- 大きな満月・小さな満月の変動幅(≒2×中心差+743+6,655)は、大きな上弦・小さな上弦の変動幅(≒2×中心差-743-6,655)よりも大きくなります。
関連ページ†
Last-modified: 2022-07-12 (火) 21:21:22