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うるう月の置き方 (置閏法)†
- 月の満ち欠けで日を数えつつ、うるう月を挿入することで1年の長さを1太陽年に近づけた暦が太陰太陽暦です。
- 月の満ち欠けが基本になるので、1か月単位で調整することになります。
- 平均的には季節とのズレはありませんが、個々の月ごとに見れば季節との間に±15日ほどのズレが生じます。
- うるう月の置き方にはいくつか考え方があります。
- 歳末置閏:2〜3年に1回、年末に挿入する。
- 歳中置閏:年の途中でもズレが大きくなったら挿入する。
- 33〜34か月に1回、つまり平均的に挿入する。
- 二十四節気を用いて挿入する。日本や中国の暦など。
二十四節気を用いた置閏法†
- 二十四節気を用いて季節のズレを判定し、うるう月を挿入する方法です。
- 月の数は12個ですので、判定には中気のみを使います。二十四節気は季節の目印ですから、そこから外れた月=中気を含まない月がうるう月となります。
- 正月中を含む月が正月のように、その陰暦月がどの中気を含むかによって月名が決まります。
- うるう月はその前の月に閏をつけ、閏9月のように呼びます。
- うるう月が入ると1年は13か月となります。
- 例:春分を含む月は2月、穀雨を含む月は3月になりますが、その間に中気を含まない月があれば、これを閏2月とします。
- 言い換えると、中気が月の初めや終りにくる、すなわち季節とのずれが大きくなるところに、うるう月が入ることになります。
- 朔(新月)や中気は日付のみを考慮し、時刻は用いません。
- 中国とは1時間の時差がありますから、日付で見ると朔(新月)や中気が日本よりも1日遅くなる場合があります。
- 朔(新月)や中気の関係によっては、単なる1日のズレにとどまらず、1か月のズレやうるう月の入り方の違いにも影響がおよぶことがあります。
- 修正宝暦暦では、この原則を破り、時刻も用いてうるう月が決められていました。
2014年の例†
朔(新月) | 中気 | 陰暦月 |
2014/01/01 | 大寒(十二月中, 1/20) | 12月 |
2014/01/31 | 雨水( 正月中, 2/19) | 正月 |
2014/03/01 | 春分( 二月中, 3/21) | 2月 |
2014/03/31 | 穀雨( 三月中, 4/20) | 3月 |
2014/04/29 | 小満( 四月中, 5/21) | 4月 |
2014/05/29 | 夏至( 五月中, 6/21) | 5月 |
2014/06/27 | 大暑( 六月中, 7/23) | 6月 |
朔(新月) | 中気 | 陰暦月 |
2014/07/27 | 処暑( 七月中, 8/23) | 7月 |
2014/08/25 | 秋分( 八月中, 9/23) | 8月 |
2014/09/24 | 霜降( 九月中, 10/23) | 9月 |
2014/10/24 | | 閏9月 |
2014/11/22 | 小雪( 十月中, 11/22) | 10月 |
2014/12/22 | 冬至(十一月中, 12/22) | 11月 |
2015/01/20 | 大寒(十二月中, 1/20) | 12月 |
太陽暦との関係†
- 現在用いている太陽暦 (グレゴリオ暦) と太陰太陽暦には平均約1か月のずれがあります。
- さらに年によって0.5か月〜1.5か月ほどの範囲で変動します。
- 陰暦正月の例
- 雨水と新月が重なると、もっとも遅いケース
- 雨水の翌日が新月となると、もっとも早いケース
- 平均的には立春のころに始まります (立春正月)。
- うるう月が入る前には早いケース、うるう月が入った後は遅いケースとなります。
- 歴史上のできごと・古典文学はもちろん、普段使われることばの季節感を理解するのにも、このズレを考慮する必要があります。
- たとえば、正月に新春ということばがよく使われますが、本来は太陰太陽暦の正月であり、現在ならば2月ごろの季節を指します。
- 伝統行事をいつやるか?たとえば七夕は、
- 7月7日:陰暦の日付をそのまま使う。
- 8月7日:月遅れの七夕。平均1か月ずれているので。
- 陰暦7月7日に相当する日:伝統的七夕。年により変動します。
関連ページ†
Last-modified: 2024-10-09 (水) 10:29:14